4つの文化圏から集められた英語の辞書が「ディクショナリーズ ver.2.0」(2003)の題材である。英語ー日本語、英語ーペルシャ語、英語ー中国語、英語ータイ語の辞書のなかから、単語に附随する挿し絵たちを拾いだし、比較できるように格子状に並べてみた。挿し絵はアルファベット順に左から右へ、各言語ごとに配置されている。すなわち、一番上の列は英語ー日本語の辞書からの挿し絵、二番目の列は英語ーペルシャ語、三番目は英語ー中国語、一番下の列は英語ータイ語である。その英単語の本来の意味と、挿し絵が意味するもののギャップをまずみてほしい。それから、同じ単語の挿し絵がそれぞれの辞書で、おおいに異なっていることに注目してほしい。この可哀想な辞書達が体現しているように、かくも文化とは歪められて伝えられていくものなのである。辞書とは外国語を学ぶ上での唯一無二の拠り所であるのにも関わらず、その無力さは隠すすべもない。そしてそれらは一堂に並べられることで、ロマンティックにも滑稽にもなる。